円預金に加え、不動産、外貨預金、有価証券、退職金等の様々な種類の財産を保有している夫婦の財産分与が問題となった事例
事案の概要
離婚を希望している夫から相談を受けました。
ご相談時点では妻が離婚を拒否しているという問題がありましたが、さらに、仮に妻が離婚を受け入れたとしても、財産分与でも問題が発生しそうな状況です。
双方とも様々な種類の財産を保有しており、財産分与額の算定が複雑になる恐れがあったためです。
夫は、妻から離婚も拒否されている状況で、財産分与の話し合いなど当事者同士でできるとは思えないということで、当事務所に離婚協議を依頼されました。
結論
当事務所が代理人となり、離婚調停を申し立てました。同調停の途中から、妻は離婚については条件次第で受け入れるという方向となりましたが、予想通り、財産分与について話し合いが難航しました。不動産、有価証券、外貨預金、退職金など、換価のための計算方法、考え方が複数あるため、双方の算定結果に大きな開きが生じ、財産分与額について歩み寄りができませんでした。
夫側からすると、妻から著しく高額な財産分与額を請求された状況で、とても支払いに応じることはできない状況でした。
これ以上継続しても合意に至る可能性は低いと思われました。そこで、離婚調停は早期に不成立として終了としました。
夫から離婚訴訟を提起しました。
同訴訟においてもメインの争点は財産分与の金額でした。双方で主張し合っているだけでは、溝は埋まらず、基本的には裁判所に判決を出してもらうしかないという状況でした。
この状況で、裁判所より、裁判所が算定した財産分与額の概算結果と共に和解の打診がありました。
夫が妻に対して一定額を支払う案でしたが、夫の主張する算定方法や考え方も一部認められ、妻から請求されていた金額を大幅に下回る提案額となりました。
最終的に双方とも、裁判所からの提案額にて合意することとなり、本件は和解により離婚が成立しました。
昨今、不動産、高価値の動産、外貨預金、株式、(外貨建)生命保険、iDeCo、NISA、電子マネー、仮想通貨等々、財産の種類が増え、容易に財産分与額を算定できない案件が増えてきました。
そもそも、当該財産につき換価のための計算式が複数あったりすると、当事者同士で算定をして、協議をするのは容易ではありません。代理人が就いても困難なケースもあります。その場合は、無理に調停での協議を継続すると、時間だけがかかり解決には至らないということがあります。
裁判官の考え方にもよりますが、本件のように訴訟提起後、裁判所が早期解決のために、判決前に一定の金額を示し、和解を打診してくれることもあります。その場合、当事者同士では争い続けていたケースでも、双方とも「裁判所による提案だから」と納得できることも多いです。
「訴訟」と言われると、漠然とした不安やなんとなく時間がかかりそうというイメージもあり、拒否反応を示される方も多いですが、本件のように当事者同士での協議が難しい要素があるケースでは、訴訟を避けようとして無理に調停を継続することで余計に時間がかかるということも十分にあり得ますので、方針の検討には注意を要します。
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