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離婚後のトラブル

離婚時に離婚条件が記載された離婚協議書を作成するなど、取り決めをしていたとしても、離婚後のトラブルを完全に防ぐというのはなかなか難しいです。以下では、よくある離婚後のトラブルをいくつかご紹介していきます。

目次

1. 養育費の増減額について

養育費は長期間にわたって支払い続けるものです。そのため、離婚時に明確に取り決めがなされていたとしても、その後お子様が成人するまでの間、様々な出来事が起き得ます。転職や病気により収入が大きく変わってしまった、再婚によって扶養家族が増えた、養子縁組をした等です。

養育費の金額の変更が認められるには、単に合意したときと事情が変わったというだけでは足りず、合意当時に予測し得なかった重要な変更が生じたことが必要で、この要件を満たすかの争いになることが多いです。

また、離婚後、お子様の進学に伴って、一時的に大きなお金がかかる場合もあります。離婚時に、進学予定がある程度具体的に決まっていれば、そのような学費も含めて具体的に取り決めをすることは可能ですが、そうでなければ、別途協議する旨が定められているだけだと思いますので、将来改めて、取り決めをする必要があります。

養育費の増減額や、学費の負担割合については、法的な主張が必要になることが多いため、まずは弁護士にご相談ください。

2. 財産分与について

財産分与は離婚後に取り決めるケースがあるのは勿論、一度取り決め等をしたものの、離婚後にまた争いになるケースがあることから、離婚後のトラブルとして、以下、ご紹介します。

  1. 離婚時に財産分与の取り決めをしていない場合

    財産分与は、離婚時に取り決めをしていなくても、離婚後2年以内であれば、請求をすることが可能です(民法768条2項ただし書)。そのため、離婚が成立したとしても、その後に財産分与調停が申し立てられ、紛争が続くことはあります。

  2. 既に財産分与に関する合意や裁判所の判断がある場合

    1. 原則
      一方、一度離婚時に財産分与の取り決めをし、また裁判所の判断を受けている場合には、改めて財産分与を請求することは、原則としてできません。一度決まった財産分与の内容を後から簡単に変えられるとなると、合意や判決の意味がなくなってしまいますし、紛争の蒸し返しになるからです。実際の事例でも、公正証書により合意をしていたケースや調停が成立した後に、改めて財産分与の申立てをした事案で、申立てを却下しているものもあります。

    2. 例外的に再度争える場合
      ただし、どのような場合であっても、財産分与の変更が認めらない訳ではありません。
      例えば、財産分与の合意や判決等が確定した後に、新たに共有財産となるものが発見された場合には、再度財産分与の申立てが認められることがあります。
      また、財産分与の合意をするにあたり、脅迫行為があったり、錯誤があれば、そのような財産分与の合意は無効・取消しの対象となり得ますので、再度財産分与の内容を争うことが可能になるケースもあります。

3. 養育費・慰謝料・財産分与等、各種不払いについて

離婚に際しては、養育費や財産分与、慰謝料等の名目での金銭の支払いが約束されることがあります。ただ、約束をしたにもかかわらず、期限になっても支払いがなされずに、紛争になるというケースも散見されます。特に養育費については、長期にわたる支払いであるため、1の養育費の増減額の箇所でも記載したとおり、支払う側の様々な事情から、途中で支払いが滞ってしまうことが比較的多いです。

不払いが起きないように、合意の方法や内容を工夫することも可能ですが、将来のことなので、実際には不払いのリスクを完全になくすことはできず、事前の合意による対応には限界があります。

そのため、実際に不払いが起きた場合には、強制的に相手の財産から回収をする手続(強制執行)を検討せざるを得ません。ただ、強制執行の手続をとるには、債務名義(判決や調書等)が必要であったり、相手方名義の財産を調査する必要があるなど、ご自身で対応するには限界があります。弁護士であれば、できる調査もありますので、お悩みの方は、一度ご相談ください。

4. 親権者変更について

離婚時に、未成年者がいる場合は、親権者を必ず定めなければなりませんが、離婚後に、この親権者の変更をめぐってトラブルになることがあります。

一度決めた親権者の変更は、父母の協議で行うことはできず、必ず家庭裁判所の審判または調停によらなければなりません。

裁判所は、子の利益のために必要があると認めるときは、親権者を他の一方に変更できますが、どのような場合に変更できるかは、実際上裁判官の大きな裁量に委ねられています。その際の考慮要素としては、現在の監護状況、未成年者の年齢、未成年者の意思、親権者となった場合の非親権者との面会交流に対する意向、監護能力等から、現在の親権者を変更する必要があるかどうかを検討します。ただし、裁判所は子の福祉から、現状を尊重する傾向があり、現在の監護状況に大きな問題がない限りは、親権者変更は容易には認められません。

認められやすいケースとしては、親権者となったものの、何らかの理由で子が非親権者の下で生活をはじめ、そのまま時間が経過したような場合が挙げられます。こういったケースでは、子の意思等、他の要素ももちろん考慮しますが、実態に合わせて、親権者の変更が認められやすいです。

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