離婚事件の解決事例

審判で婚姻費用を決めることで、安定した生活を実現した事例

事案の概要

 夫との離婚を検討しているお客様からの相談でした。
 既に別居状態だったのですが、夫は、妻と子供に非常に執着しており、離婚話を持ち出すと、怒鳴りだしたり、突然別居先に押し掛けてきて、何時間も昔の出来事に関する文句を言ったりするという状況で、本人同士では話し合いが全く進まない状況になっていました。さらに、お客様としては、夫との直接のやり取りが非常に負担になっている状況でした。
 ご自身での対応困難と考え、当事務所にご相談にいらっしゃいました。

結論

 裁判所にて、婚姻費用の審判を出してもらい、婚姻費用の金額を決定して、離婚はせずに、当面別居して生活するということで終了となりました。

 お客様のお話を伺ったところ、夫の対応には疲れ切っていましたが、離婚について焦ってはおらず、むしろ、頻繁に接触する必要がなくなり、しっかりと婚姻費用を払ってくれるなら、急に離婚が成立して生活費を一人で負担しなければいけなくなるよりありがたいということでした。
 そのため、本件では、離婚については夫が同意するなら成立させるが、同意しないなら、訴訟手続きまではとらずに当面別居として、婚姻費用の金額を決めることに注力することにしました。

 本件では、離婚も婚姻費用も最初は調停で話し合いましたが、夫は離婚も婚姻費用の支払いも拒否するという対応でしたので、離婚調停はすぐに不成立として終了し、婚姻費用は審判手続きに移行しました。(婚姻費用分担請求に係る審判については「婚姻費用分担請求について㉒~婚姻費用分担額決定までの流れ(12)審判~」等の当事務所のコラムで簡単にご紹介しておりますので、お時間がありましたら、合わせてご参照ください。)

 審判手続きに移行した後も、夫は不合理な主張を繰り返しましたが、最終的には、当方の主張が認容される形で、裁判所が適正な金額の婚姻費用を決めてくれました。

 審判で金額が決められた後は、夫も婚姻費用をしっかりと払うようになり、お客様は子供と落ち着いた生活を送ることができているそうです。

 本件のように、夫との生活やその対応に疲れてしまい、とにかく離婚したいと思われてご相談にいらっしゃる方は多いです。しかし、弁護士に依頼をすると、通常は、当面、夫と直接のやり取りをせずに生活することができます。そうすることで、本当にすぐに離婚した方が良いのかどうかなど落ち着いて考える時間もできるはずです。一度、冷静に方針を考えてみるという意味でも、実際に動き出す前にご相談をお勧めいたします。