コラム

婚姻費用分担金

婚姻費用分担請求について㉒~婚姻費用分担額決定までの流れ(12)審判~

弁護士 小島梓

 婚姻費用分担調停が不成立となって、終了してしまった後は、どのような手続きにより婚姻費用分担額を決めることになるのでしょうか。今回は、調停で金額を決めることができなかった場合についてご説明します。

 婚姻費用分担調停において、残念ながら、双方の合意が整わず、不成立となって調停が終了した場合、「審判」という手続きに自動的に移行します。
 審判手続きと調停の一番の違いは、調停はあくまで「話し合い」でしたが、審判手続きは、最終的に裁判官が「審判」という判断を出すという点です。皆様のイメージする訴訟に近いものとお考えください。

 調停では、双方が合意できなければ金額は決まりませんでしたが、審判ではそのような事態にはなりません。双方の主張を聞いて、裁判官が金額を決めて審判を出します。つまり、金額が決まらずに終了するということはありません。

 具体的に審判手続きはどのように進むのでしょうか。

 審判手続きにおいても、調停と同様に、期日が指定され、当事者当該期日に裁判所に出頭することになります。当事者は、期日までの間に、裁判所の指示に従って、主張書面や証拠を準備し、期日の1週間前には裁判所と相手方に提出をするという流れになるのが通常です。

 期日当日も調停とは違います。まず、弁護士が代理人として就いている場合には、審判の期日には代理人だけで出頭するということも多いです。
 さらに、基本的に審判手続きは、裁判官が最終的に審判を出すために必要な主張立証を当事者にさせるためのもので、話し合いが想定されているわけではないので、調停と異なり期日当日は裁判官が部屋にいるのみで、双方当事者と裁判官が同じ部屋に同時に入って、主張書面の内容や提出された証拠の確認を行います。

 そして、裁判官から不足している主張や立証部分について指摘が入り、双方それぞれが次回期日までに必要に応じて主張書面や立証の準備を行うという形で期日が進んでいきます。

 では、期日の回数等はどのようになっているのでしょうか。調停よりも少ないのか多いのかなど、次回、ご説明していきたいと思います。