コラム

養育費 裁判例

養育費の増減についての裁判例

弁護士 幡野真弥

 離婚に際して、子どものために養育費を取り決める必要があります。
 しかし、いったん養育費を取り決めた後も、父母の収入の増減や再婚等、養育費を取り決めた当時から、事情が変化することがあり、一定の場合は養育費の増減を求めるこことができます。この場合は、従前の養育費額が決められた際の経緯等の関係事情も考慮して、適切な養育費の金額が決定されることとなります。

 東京高裁令和元年8月19日決定は養育費の減額に関する事例です。この事例では、離婚の際に、養育費月額15万円(子どもは3名)とし、母と子らが生活する住宅の住宅ローン月額10万円を完済まで支払うこと、父が住宅ローンを支払っている場合は、その支払額を養育費から差し引く旨の条項があったというケースで、父が養育費の減額を求めて調停を申し立て、裁判所の審判に移行しました。
 裁判所は、協議離婚時に公正証書で定めた養育費の額(合計月額15万円)が住宅ローンの支払に関する合意と不可分一体のものとなっており、合意の真の意味は、未成年者らの養育監護に使用される実際の養育費としては、住宅ローン月額支払額10万円相当額を除いた、月額合計5万円を抗告人に支払うことを約するものであるとして、同養育費の減額請求につき、住宅ローンに関する合意と切り離して養育費のみを減額することは相当でないと判断しました。

 養育費の増減の際に、従前の養育費額が決められた際の経緯等の関係事情がどのように考慮されるか、参考になります。