コラム

協議離婚

離婚の方法⑧~公正証書作成を要するケース(協議離婚)

弁護士 小島梓

 これまでのコラムで,公正証書作成のメリット,重要性,実際の公正証書作成方法などをご紹介してきました。

 今回は,逆にデメリット,注意事項,それを踏まえたうえで,公正証書作成を要するケースはどういったものかについてご説明していきたいと思います。

(1)デメリット・注意事項
ア 費用
 公正証書作成には作成のために公証役場に支払う手数料が発生しますので,離婚協議書を作成するのみの場合よりも費用が掛かります。

イ 時間
 前回の「離婚の方法⑦公正証書の作成方法(協議離婚)~」のコラムにてご説明したように,公正証書作成する際には,双方当事者もしくは,双方当事者の代理人の予定,公証人の予定を調整の上,関係者全員の都合がつく日に,公証役場に予約を入れ,公証役場に関係者が一堂に会する必要があります。さらに,時期によっては公証役場の繁忙期と重なり,早々に予約を入れることが出来ない場合もございます。そのため,作成までに時間を要する場合があります。

ウ 法的効力
 「離婚の方法⑥~公正証書について(協議離婚)~」のコラムでもご説明したように,公正証書には,強制執行が可能になるなど,離婚協議書にはない法的効力があります。これはメリットでもありますが,逆にいえば,取り決める内容について,より一層慎重な判断が必要になるという意味では注意点でもございます。

(2)公正証書作成に適したケース
 これまでにご説明してきた内容も踏まえますと,公正証書作成に適したケースは,少々時間や費用がかかっても,法的効力,特に強制執行が可能となることに意味のあるケースということになります。

 そのため,継続的な金銭支払い債務(Ex.養育費支払いの取り決めなど)が発生するケースで,途中で不払いとなる恐れがあるなどのケースでは公正証書を作成するべきと言えます。

 離婚協議書のみの作成で済ませてよいのか,公正証書作成まで検討した方がよいのか迷われた場合には,一度ご相談ください。

 次回以降のコラムでは調停離婚の進め方などについてご説明していきたいと思います。