コラム

養育費 裁判例

離婚後の子の学費について

弁護士 幡野真弥

 離婚の際、子どもの学費について、何らかの取り決めをすることがあります。
 「子の学費等の特別の費用については、別途協議する」とだけ取り決めることもありますし、「子の学費については2分の1ずつ負担するものとする」「子の学費については収入に按分して負担するものとする」などと取り決めることもあります。

 「学費については、2分の1ずつ負担するものとする」という合意が成立し、これを公正証書で残したり、あるいは離婚調停が成立していても、相手方が学費の2分の1を支払わない場合は、あらためて訴訟を提起する必要があります。慰謝料や養育費であれば、通常は、公正証書や離婚調停で金額が特定されているので、相手方が支払わない場合は、訴訟を経ることなく、強制執行することができますが、「学費については、2分の1ずつ負担するものとする」という合意では、金額が特定されているとはいえないと裁判所に判断され、訴訟を経ないと、強制執行することができません。
 また、学費は、毎年度、学校に支払う必要がありますが、相手方が過去分の学費を負担しないときは、将来発生する学費の分も、併せて一度に訴えることができる場合もあります(東京地裁平成29年12月8日判決)。

 学校にかかるお金は、入学金、授業料、施設使用料、教材費、制服代等様々なものがあります。離婚の際には、どの部分まで負担するのかを可能な限り取り決めておくことが望ましいですが、現実的には難しく、離婚後に負担の範囲について争いとなってしまうケースが多いです。