コラム

養育費 裁判例 婚姻費用分担金

高額所得者の養育費・婚姻費用(福岡高裁平成26年6月30日決定)

弁護士 幡野真弥

 婚姻費用や養育費の算定については、いわゆる「算定表」が公表され、利用されています。
 しかし、算定表では、給与所得者では年収2000万円、事業所得者で1567万円まででしか示されていません。
 そこで、義務者に算定表上の上限を超える収入がある場合、どのように婚姻費用や養育費の金額を決めるか、問題になります。

 福岡高裁平成26年6月30日決定は、約6000万円の収入があった義務者について、「抗告人の年収額は社会保険料控除前の金額であり,市県民税(所得・課税)証明書の記載等からも,給与所得者として基礎収入額を算定すべきであるが,年収2000万円までの基礎収入割合は概ね34ないし42パーセント(ただし高額所得者の方が割合は小さい。東京・大阪養育費等研究会「簡易迅速な養育費等の算定を目指して」判例タイムズ1111号285頁参照)とされているところ,年収2000万円を超える高額所得者の場合は,基礎収入割合はさらに低くなると考えられるから,抗告人の職業及び年収額等を考慮して,抗告人の基礎収入割合を27パーセントとするのが相当であり,その基礎収入額は1666万4000円(1000円未満四捨五入。以下同じ。)となる。」と判断しました。

 高額所得者の収入認定には、複数の考え方がありますので、今後、コラムで紹介してまいりたいと思います。