コラム

養育費 婚姻費用分担金

自営業者の総収入の認定-減価償却費

弁護士 幡野真弥

 自営業者の総収入の認定については、以前、コラムでご説明しました。

 問題となるものに、減価償却費があります。
 事業用に取得した不動産や自動車などは、耐用年数に応じて、必要経費として毎年控除されます。

減価償却費は、現実に支出されているものではないため、原則的には、婚姻費用や養育費の算定上は、収入に加算する必要があります。

 しかし、借入金がある場合、借入金の元本部分の返済は、現実に支出はしているものの、経費とはなりません。
 借入金もある場合は、減価償却費か借入金の返済を経費と認めないと、義務者にとって大きな負担となります。
そこで、減価償却費の額が適正であれば、減価償却費は加算せず、減価償却費の額が適正でなければ、減価償却費を加算し、借入金の返済の一部又は全部を特別経費として控除する、という考えがあります(岡健太郎「養育費・婚姻費用算定表の運用上の諸問題」判例タイムズ1209号5頁)。