コラム

婚姻費用分担金

婚姻費用分担請求について㉓~婚姻費用分担額決定までの流れ(13)審判~

弁護士 小島梓

 前回のコラムでは、婚姻費用分担の審判の具体的な進め方について、調停との比較などを行いながら、ご説明しました。今回も引き続き、審判期日についてのご説明をしていきます。

 期日の回数は、調停より少ないケースが大半です。極端なケースでは、審判手続き移行後に、1回期日が入るのみで、すぐに審判が出されるということもあります。どういうことかと言いますと、調停段階である程度主張立証がなされているケースでは、裁判官が、その調停段階の主張書面や証拠資料で十分判断ができるとして、追加の主張立証不要と考えるためです。

 逆に言えば、調停段階の主張立証が、審判段階にも影響をするということです。つまり、調停にて合意ができない可能性があるケースでは、常に審判に移行して裁判官が判断する可能性があることを見据えて、より慎重な対応が求められます。
 調停段階は、ご本人で対応し、審判手続きに移行した後は法的な主張が求められる事態になるので、審判手続きに入ってから弁護に頼めばよいのではと思われる方もいらっしゃるのですが、その段階で弁護士が就いても調停段階のご本人対応を取り消したりすることはできませんので、軌道修正が難しいことが多いです。

 そのため、本コラムで何度かご説明していますが、婚姻費用について、自分のケースでは本人同士で話し合えそうか、調停で決着がつきそうか等、早い段階で弁護士に相談して見通しを立て、その段階で審判での決着も見据えた方が良いケースでは基本的に最初から弁護士に対応を依頼することをお勧めします。

 上記のとおり、極端なケースでは1回の期日で終了となることもありますが、複数回の期日が入るケースであっても、調停よりも短い期間で終了することがほとんどです。

 審判に移行するまでの間に、一定の話し合いがなされており、審判ではこの調停段階の主張に沿って、それを書面にしたり、不足しているものを提出したりという作業になるため、一から話を始める調停ほど時間はかからないということになります。

 次回は、審判手続きの終了、審判の効果などについてご説明します。