コラム

婚姻費用分担金

婚姻費用分担請求について㉔~婚姻費用分担額決定までの流れ(14)審判~

弁護士 小島梓

 今回は、婚姻費用分担の審判手続きの終了、その効果などについてご説明していきます。

 裁判官が双方の主張立証が十分と考えられる段階に至ると、基本的には、裁判官が審判を出す日を決めて、審判が出されて、手続きは終了ということになります。

 また、事案によっては、裁判官が、審判ではこういう内容になりそうだという見通しを当事者に伝えて、当事者間で●●万円程度で、合意ができませんかというような話をすることがあります。裁判官の意見が出てきて、且つ審判になっても同じような結論になるという話がなされると、当事者としても改めて合意することを考えるという動きになる場合があるため、裁判官によっては、審判前に改めて合意できないかという提案をするケースがあります。ただ、通常は、調停段階で合意ができずに、審判に移行してきていますので、困難なケースが多く、合意のために長時間かけることはありません。

 この審判が出ますと、裁判所において審判書が作成されます。
 この審判が確定した場合には、「婚姻費用分担請求について⑳~婚姻費用分担額決定までの流れ(10)調停~」にて説明した調停調書と同じ効果があります。

 仮に審判が確定したのに、婚姻費用の支払いが滞るということになった場合、相手方の財産、給与等に対して差押えなどの強制執行手続きをとることで、強制的に回収することが可能となります。
 ただし、この効果が得られるのは、「確定した」場合です。調停とはこの点も大きく違う点になります。審判手続きでは審判が出たら終了とならないケースがあります。

 次回は、審判が出た後の対応、流れについてご説明します。