コラム

離婚の方法 協議離婚

離婚の方法⑦公正証書の作成方法(協議離婚)~

弁護士 小島梓

 前回の「離婚の方法⑥~公正証書について(協議離婚)~」のコラムでは,公正証書は,単なる離婚協議書とは異なり,取り決められた内容について守られなかった時に,強制執行が可能となるという大きなメリットがあるということをご紹介しました。

 今回は,公正証書は実際にどのように作成すべきかということについて,ご説明していきたいと思います。

(1)公正証書の作成手順
 以下の手順で作成いただくのがベストと考えております。
①公正証書案を弁護士に依頼して作成してもらう
②当該公正証書案を公証役場に提出の上,公証人に公正証書として適した内容に整えてもらう
③作成日に,当事者本人,もしくは代理人が公証役場に出頭して作成する

(2)公正証書案作成依頼
 まず,公正証書案の作成を弁護士に依頼することをお勧めします。
 公正証書案というは,公正証書の原案になるものです。基本的に,公証人は,当事者から提出された公正証書案をもとに公正証書を作成します。

 公証人も法律の専門家ですが,どちらかの代理人というわけではありませんので,あくまでご本人たちに公平に接する必要があります。どちらかに有利不利という観点からアドバイス,修正・加筆を行うことは基本的にはできません。

 そのためまずは,自分にとって有利なこと,不利なことについてアドバイスを受けられる弁護士に公正証書案の作成を依頼し,しっかりとした原案を作成してもらうことが重要になります。

 さらに,「離婚の方法⑤~離婚協議書の作成(協議離婚)~」のコラムの中でもご紹介しましたが,法的に適正な内容であるある必要があるのは公正証書案も同様ですので,この点からも専門家に作成を依頼する必要性がある次第です。

(3)公正証書案の提出から公証役場とのやり取り
 公正証書案が完成した後,公証役場に提出し,公正証書案をもとに,公証人とやり取りをしながら,最終的な公正証書の内容を固めていきます。

 この公証人とのやり取りも弁護士に任せた方がスムーズなケースが多いです。そのため,公正証書作成と合わせて公証人とのやり取りも依頼されることをお勧めします。

(4)公正証書作成
 公証人とのやり取りの結果,公正証書の最終的な内容が固まったら,予約した公正証書作成日に,当事者双方が公証役場に出向き,公証人と一緒に内容確認の上,押印等必要な手続きを行い,完成となります。

 基本的には当事者ご本人の出席が必要となりますが,相手方と直接顔を合わせたくない場合は,弁護士が代理人として出席することも可能ですのご相談されるのが良いと思います。

 以上が公正証書作成の手順になります。少しでも,実際に公正証書を作成する際のイメージを持っていただければ幸いです。
 次回は,このような作成方法も踏まえたうえで,デメリットや,公正証書作成を要するケースについてご説明していきたいと思います。