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養育費

改正で認められた養育費の回収方法

弁護士 長島功

 これまでは養育費が任意に支払われない場合、強制的に回収するには債務名義、つまり調停調書や審判といったものが必要で、それに基づいて支払い義務者の預金や給与等を差押えてきました。
 もっとも、改正により養育費をはじめとする子の監護費用に一般先取特権が付与され、手続的な負担を軽減し、より回収しやすくなりました。

 一般先取特権というのは、法定担保物権の1つで、相手の総財産から他の債権者(ただし、一部例外あり)に優先して弁済を受けられる権利です。
 これまでは、養育費を相手が支払わない場合、相手の財産から強制的に回収するには、調停調書や審判といった債務名義と言われるものが必要で、請求する側に手続的な負担がありました。
 しかし、今回の改正により養育費に一般先取特権(以下、単に「担保権」といいます。)が付与された結果、債務名義がなくても担保権の実行手続によって強制的な回収が可能となり、回収の負担が大幅に改善されました。

1 担保権が付与される金額
 養育費であれば、いくらでも担保権が付与される訳ではなく、法務省令により、子1人につき8万円と定められています。そのため、仮に当事者間で子1人につき月額10万円の合意をしていたとしても、担保権が付与されるのは8万円までということになります。
 また、法定養育費の請求の場面では、法定養育費は子1人あたり月額2万円とされていますので、全額担保権が付与されます。

2 担保権の存在を証する文書
 いかに養育費に担保権が付与され、手続的な負担が軽減されたといっても、申立書だけで当然に担保権の実行ができるわけではなく、「担保権の存在を証する文書」が必要です。
 調停調書や審判等があれば、これに該当しますし、そうしたものがなくても、当事者間で作成された私的な合意書等でも構いません。ただし、債権内容が具体的に定められている必要があるため、金額、支払時期、始期・終期等が具体的に定められていることが必要です。
 なお、法定養育費の場合は法定養育費の成立要件を証する文書がこれに該当しますので、戸籍事項証明書に加えて、離婚後引き続き子の監護を主として行っていることを示すため、債権者である親と子が同一世帯となっている住民票等が必要になります。