コラム

養育費 裁判例 婚姻費用分担金

不動産収入の経費と婚姻費用・養育費

弁護士 幡野真弥

 婚姻費用や養育費は、父母の収入をベースに決まります。
 個人事業主の場合、売上から経費を除いた所得が収入となります。

 確定申告では、不動産収入がある場合、減価償却費が経費として控除されますが、婚姻費用や養育費を算定するうえでも、減価償却費を控除した金額を収入とするかどうか、争いになることがあります。

 東京家庭裁判所平成27年9月28日審判では、減価償却費について「時の経過又は使用により価値の損耗又は減耗を生じる建物等についてその取得費用を徐々に費用化して配分するものであって,現実の支出を伴うものではないから,婚姻費用の前提となる収入を算定するに当たって,これを控除するのは相当でないというべきであり,同様の観点から,青色申告特別控除額10万円を控除するのも相当でないというべきである。他方,税務上必要経費とされていない不動産取得のための借入金の元本分の返済については,現実に支出されていることから,少なくとも同返済額の一部については不動産収入から控除するのが相当である。」と判断しました。

 もっとも、減価償却費の額が適正であれば、控除を認める考えもあり、注意が必要です。