コラム

離婚訴訟 離婚原因 その他

悪意の遺棄を認めた裁判例

弁護士 幡野真弥

 東京家裁立川支部令和 4年10月20日判決は「原告は、平成29年11月5日に別居してから、被告及び子らに対し、平成31年4月に婚姻費用分担請求調停が成立するまで生活費を渡すことはなかったこと、原告は、平成29年12月8日、被告及び子らが生活している自宅のガスの閉栓を依頼し、ガスの供給が停止されたことが認められ、かかる事実に、別居当時、被告が専業主婦であり、長男が2歳、長女が生後7月であったことも考慮すると、原告が被告を悪意で遺棄したものといえる。」と判断しました。

 また「婚姻費用についても、婚姻費用分担請求調停の申立てがされた以降の未払分については清算されているが、前記のとおり、被告が専業主婦であり、子らの年齢に照らすと、請求がされるまで婚姻費用を支払わなかったことは許されるものではない。」とも裁判所は判断しています。

 婚姻費用は、請求時から発生するものと考えられておりますので、この裁判所の判断は厳しいものと思います。