コラム

離婚調停 離婚訴訟 その他

外国人の離婚事件-離婚調停・離婚裁判の管轄

弁護士 幡野真弥

 外国人の離婚問題については、そもそも日本の裁判所が審理・判断することができるのか、という問題(国際裁判管轄権)があります。

 家事事件手続法では、調停については、以下の場合に、日本での国際裁判管轄を認めています(家事事件手続法3条の13第1項)。

①調停を求める事項についての訴訟事件又は家事審判事件について日本の裁判所が管轄権を有するとき。
②相手方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。
③当事者が日本の裁判所に家事調停の申立てをすることができる旨の合意をしたとき。

 また、人事訴訟法では、離婚訴訟については、以下の場合に、日本での国際裁判管轄を認めています(人事訴訟法3条の2)

①身分関係の当事者の一方に対する訴えであって、当該当事者の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。
②身分関係の当事者の双方に対する訴えであって、その一方又は双方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。
③身分関係の当事者の一方からの訴えであって、他の一方がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。
④身分関係の当事者の双方が死亡し、その一方又は双方がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。
⑤身分関係の当事者の双方が日本の国籍を有するとき(その一方又は双方がその死亡の時に日本の国籍を有していたときを含む。)。
⑥日本国内に住所がある身分関係の当事者の一方からの訴えであって、当該身分関係の当事者が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。
⑦日本国内に住所がある身分関係の当事者の一方からの訴えであって、他の一方が行方不明であるとき、他の一方の住所がある国においてされた当該訴えに係る身分関係と同一の身分関係についての訴えに係る確定した判決が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。

 外国人との離婚問題については、調停・裁判をするためには、上記の法律上の要件を充足するかを検討する必要があります。