コラム

婚姻費用分担金

事業収入と給与収入の両方がある場合について

弁護士 長島功

 婚姻費用や養育費の算定にあたって、当事者が事業を営みつつ、給与収入を得ている場合があります。この場合、収入はどのように算定すれば良いかについて、以下解説します。

 こういったケースでは給与所得額と事業所得額の一方を他方に換算し、合算した額を算定の基礎となる収入とします。そのため、給与収入を事業収入に換算する方法と事業収入を給与収入に換算する方法がありますが、今回は、前者について解説します。

 まず、確定申告書の給与収入の金額を算定表をつかい、事業収入に換算します。例えば、給与収入が500万の場合、算定表では同額の自営の金額をみると、373万円となっています。そのため、この373万円が事業収入に換算した金額となります。
 そして、仮に確定申告書の事業所得が300万円となっている場合には、この300万円に先ほど事業収入に換算した373万円を加算した673万円がその方の所得金額となります。

 あとは、従前解説した自営業者の総収入の認定(https://www.rikon.owls-law.com/2021/05/2173/)で解説したとおり、実際に支出されていない青色申告特別控除額等を加算して、最終的な収入を算出します。
 ただし、以前解説したとおり、通常、自営業者の収入を算出する場合、社会保険料を控除することになりますが、今回のように、給与収入もある場合、社会保険料は源泉徴収によって既に控除されていると考えられるため、さらに社会保険料を控除するべきではないといえます。