コラム

婚姻費用分担金

婚姻費用分担請求について⑱~婚姻費用分担額決定までの流れ(8)調停~

弁護士 小島梓

 前回のコラムでは、婚姻費用分担調停申立て後の流れ、期日当日の対応についてご説明をしました。期日が終了すると、通常は、次回期日が決められます。現在、この次回期日までの間に、双方に対していくつか宿題が出されたりするのが通常です。
 そこで、今回は、期日間にどのような準備をしていくことになることが多いのか、ご説明したいと思います。

 コロナ禍ということもあり、多くの裁判所で、調停期日は原則2時間程度で切り上げる方針がとられています。となりますと、期日当日の時間は非常に限られており、期日に話し合いをするだけでは話し合いがスムーズに進まないケースが多いです。

 そこで、基本的には、期日間に一定の準備が双方に求められることになります。

 婚姻費用分担調停に関しては、まずは収入資料の準備ということになります。双方の収入や家計がシンプルな場合は、資料を提出するだけで準備は終了となることもありますが、収入が複雑であったり子供の費用の問題があったりしますと、資料の提出にとどまらず、主張書面と言って、当事者の主張を記載した書面の提出が求められるケースも多くなっています。

 あらかじめ、相手方に主張を伝えておき、相手方は期日間にその主張内容を検討して期日当日に返事をするという方がスムーズに話し合いが進むためです。

 婚姻費用については、このように収入の内容、家計の状況、子供に係る費用などが複雑な場合は、法的な主張が調停段階から求められ、それが適切にできない場合には話し合いでも不利になってしまう可能性があります。この法的な主張は、ご本人では対応が難しいケースが多いです。
 そのため、申立前には、弁護士に相談の上、ご自身で対応できそうなケースか否かよく検討いただくことをお勧めします。

 期日で話し合い、期日間で準備をして、再度期日で話し合う…この流れを何度か繰り返しながら調停は進み、結果、合意に至れば「成立」、合意に至らなければ「不成立」となって終了することになります。

 次回は調停の終了についてご説明をします。