コラム

婚姻費用分担金

婚姻費用分担請求について⑰~婚姻費用分担額決定までの流れ(7)調停~

弁護士 小島梓

 前回は、婚姻費用分担調停の申し立てについて説明をしました。今回は、申立後の流れについて簡単にご説明していきます。

 離婚調停の申立てが受け付けられますと、裁判所では当該調停を担当する裁判官がきまり、担当裁判官が、男女1名ずつ、合計2名の調停委員を指定します。この担当裁判官+調停委員2名が当該調停を担当する「調停委員会」ということになります。

 さらに、「期日」が指定され、当事者双方に対して期日の通知書が郵送されます。原則として指定された期日に双方当事者が裁判所に出頭し、調停委員を通して、話し合いを行うことになります。

 実際の調停期日での話し合いはどのように行われるのでしょうか。
 通常の流れは以下のようになります。
①双方当事者はそれぞれ別の待合室にて期日開始時間まで待機
②調停委員2名の待機する調停室に、当事者が交互に入って、話をする(期日の開始時と終了時には、双方当事者の同席を求められることもあります)
③次回期日の指定

 まず、待合室ですが、多くの裁判所では、待合室は申立人と相手方とで別々に用意されていますので、相手方と顔を合わせずに待つことができます。そのため、相手方と接触せずに話し合いをしたい場合にも利用可能です。
 また、現在は各裁判所が調停の数を減らしたり、臨時で待合室を設けるなどして、待合室で密にならないような工夫もなされています。

 通常は、待合室に担当の調停員が呼びに来てくれます。そして、調停委員2名の待つ調停室に当事者が一人(及び代理人)で入室し、調停委員に対して、希望している婚姻費用の金額や生活実態など必要なことを伝えます。
 次に、交代で相手方が入室し、調停委員は申立人から聞き取った話を伝えます。これを交互に何度か繰り返します。このように、話し合いが始まると相手方のいる前で話をすることは基本的にありません。
 普段は、このように、調停委員2名がいるだけで、担当裁判官は部屋にはいません。裁判官は、同時に多くの調停を担当しているため、常に部屋にいるということができないためです。しかし、裁判官も担当の調停の話し合いの内容は把握しており、重要な局面では、婚姻費用の金額について意見を出してくれたり、話し合いを整理してくれたりします。

 1回の期日は、通常2時間程度で終了となります。期日の最後に、調停委員の都合、および双方当事者の都合を確認の上、次回期日を決定します。各裁判所の繁忙状況によりますが、通常は、1ヶ月から1か月半に一回程度の目安で期日が入ります。

 次回は、期日と期日の間にどのような準備が求められるのか、期日間の準備について説明していきたいと思います。