コラム

裁判例 婚姻費用分担金

婚姻費用分担請求について⑤~婚姻費用の内容~

弁護士 小島梓

 婚姻費用にはどのようなものが含まれるのでしょうか。今回は、婚姻費用の性質、そして、そこに含まれる考えられる具体的費目について見ていきたいと思います。

(1)婚姻費用分担義務の性質とは
 扶養義務には、一般的に生活保持義務と生活扶助義務があると言われています。
〇生活保持義務=自分の生活を保持するのと同等程度の生活を被扶養者にも保持させる義務
〇生活扶助義務=自分の生活を犠牲にしない程度で被扶養者の最低限の生活扶助を行う義務

 婚姻費用分担義務は、以上のうち生活保持義務であると考えられています。すなわち、支払い義務者の収入が多い場合には、被扶養者の生活が維持できる程度の金銭を渡せばいいというわけではなく、原則としてその収入に見合った生活を被扶養者も送れるように金額を考えることになります。

(2)一般的費目
 一般的に婚姻共同生活を営む上で必要な一切の費用と考えられています。
 より、具体的には、夫婦の衣食住にかかる費用、子の監護に要する費用、教育費、医療費、出産費、葬祭費、交際費を含むと考えられています。

(3)子供以外の同居者の生活費用
 子供以外の同居者がいる場合に、その費用を婚姻費用として請求できる場合はあるのでしょうか。

 この点について、夫が自宅を出て別居を開始した後も、妻が夫の実母と同居を継続しており、妻側が夫の実母の生活費も含めて婚姻費用を請求した事例において、夫の実母の生活費も婚姻費用に含まれると判断した裁判例(大津家庭裁判所昭和46年 8月 4日審判)があります。
 当該事例においては、夫に、実母に対する扶養義務もあるということがポイントとなっていると考えられます。

 以上からしますと、子供以外の同居者であっても婚姻費用支払い義務者に同じように扶養義務が認められるような場合には、当該同居者の生活費の婚姻費用に含めて請求することが可能となる場合があると考えられます。

 ただ、実際に婚姻費用を請求する際には、この費目いくら、この費目いくらという形で請求することはありません。現在では、裁判手続き上は基本的に決められた算定方法が存在します。この点は別途改めてご説明します。

 次回は、婚姻関係が破綻している場合、婚姻費用等の分担義務がどうなるのかということについて見ていきたいと思います。