コラム

親権 子の監護・引渡し

「親権は渡さないが監護権は渡す」と言われたら

弁護士 幡野真弥

 未成年の子どもがいる場合、離婚に際して、親権者を定めなければなりません。このとき、親権と監護権を分けて、父母それぞれに分属させることも法的には可能です。
 親権と監護権を分けた場合、監護権者は、子の監護及び教育等を中心とする監護権をもち、親権者は、子の財産につき管理・代理する権限をもつことになります。

 離婚の話合いを進めるときに、親権について夫婦が対立すると、「親権は渡さないが監護権は渡す」といった条件が出てくることがあります。
 離婚後も、父母が協力して親権と監護権を行使するには、父母の関係が良好である必要がありますが、通常は対立する関係となっており、円満な協力関係を築いていくことは難しく、子の福祉に反する結果となる可能性やトラブルが発生する可能性があります。そのため、親権と監護権を分けることについては、慎重に検討する必要があります。