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法律上の父と子の親子関係

弁護士 幡野真弥

 法律上の母子関係は、分娩の事実により認められます(最高裁昭和37年4月27日判決)。
 法律上の父子関係は、嫡出推定または認知によって成立します。

 嫡出推定とは、父母の婚姻成立の日から200日を経過した後、または離婚の日から300日以内に生まれた子どもは、夫の子どもであると推定されるということです。

 嫡出推定を受ける子どもとの間で、父子関係を争うには、嫡出推定否認の訴えをする必要があります(民法774条)。
 嫡出否認の訴えを提起することができるのは、原則として父のみであり、父は子どもの出生を知った時から1年以内に訴えを提起しなければなりません。この嫡出否認の制度は、改正について議論がされている状況です。

 また、嫡出推定の及ぶ子どもであっても、
 ①離婚後の出生の場合、医師の証明書により離婚後に懐胎したことを証明できる場合や、
 ②妻が子どもを解体した時機に、既に夫婦が事実上の離婚状態にあり夫婦の実態が失われ、又は遠隔地に居住していて夫婦に性的関係を持つ機会がなかったことが明らかである場合などは、嫡出推定は及びません。

 ①は、子の出生届を提出する際に、医師が作成した「懐胎時期に関する証明書」を添付することになります。これにより、離婚後に懐胎したと認められ、嫡出推定が及ばず、母の嫡出でない子又は後婚の夫を父とする嫡出子の出生届が可能です。

 ②では、親子関係不存在の訴えを起こし、嫡出推定を争うことになります。

 

(※追記)
 令和4年12月の法改正でにより、嫡出推定に関する規定の法改正がありました。施行は公布日(令和4年12月16日)から1年半以内です。上記のコラムは法改正前の説明ですのでご注意ください。