コラム

離婚訴訟 有責配偶者 慰謝料 不貞行為 その他

無断で取得したLINEのトーク履歴の証拠能力が問題になった裁判例

弁護士 幡野真弥

 福岡家裁小倉支部令和 2年 7月21日判決を紹介します。
 この裁判例は、内容は離婚裁判ですが、裁判のなかで、原告は、被告の不貞行為等を理由に慰謝料の支払いを求めており、不貞行為の証拠として、被告と不貞相手のLINEのやり取りを提出していました。

 被告は、LINEのやり取りは、原告が被告に無断で取得したものである等と主張し、違法収集証拠であり証拠能力がないと主張しました。
 裁判所は、証拠について「原告が,被告の不貞を疑い,被告が平成29年10月に自宅に戻った際に,被告の携帯電話のロックを解除して(暗証番号は,以前被告から聞いた。),ラインのトーク履歴を原告にメールで送信したものであり(中略),被告に無断で取得したものではあるが,その取得方法が,証拠能力を排除しなければならないほど著しく反社会的なものとまでは認め難いというべきである。」として、証拠能力を認めました。
 慰謝料については、不貞行為に加え、生活費の不払等の事情もあり、150万円となりました。