コラム

婚姻費用分担金

婚姻費用分担請求について㉗~婚姻費用分担額決定までの流れ(17)~

弁護士 小島梓

 「婚姻費用分担請求について⑪~婚姻費用分担額決定までの流れ(1)~」より、17回にわたって、婚姻費用分担額決定までの流れについてざっとご説明をしてきました。
 今回は、「婚姻費用分担額決定までの流れ」のまとめとして、改めて、気を付けていただきたいことなどご説明いたします。

 婚姻費用分担額を決める方法は、いくつかあり、個別の事案に応じて適した方法を選択することが重要になります。この適した方法を選択するというのが、なかなかご本人のみでは難しいところです。

 方法を選択した後は、ご自身でやれる場合とそうでない場合とあるかと思います。そのため、「婚姻費用分担請求について⑪~婚姻費用分担額決定までの流れ(1)~」にてご紹介したように、ベストは、
①別居前に弁護士に相談別居後に本人もしくは弁護士から相手方に対して
②婚姻費用分担額の請求
③婚姻費用分担額に関する協議
④婚姻費用分担額の調停(審判)
という形で、最初の段階で、弁護士に相談してしまい、方法の選択、弁護士を入れるか入れないのかおおよその見通しを立てることだと思います。

 最初の段階で、適切な対応ができていない場合、後に弁護士を入れても必ずしも挽回できるとは限りません。弁護士も、ご本人で対応された部分を取り消したりすることは基本的にできないためです。

 弁護士に相談に行く=弁護士介入というイメージや、基本的に相談の段階で依頼をしなくてはいけないのではないかというイメージを持っている方も多いかと思いますが、基本的にそのようなことはなく、費用対効果や進め方の観点から、弁護士介入の要否やタイミングは相談できるのが普通です。

 結局、最初の段階で、「弁護士への相談」という一手間をかけることで、とりあえず悩みながら本人対応で始めてしまう場合よりも早期解決が実現できることが多いかと思います。早い段階で、一度、弁護士への相談をするということ検討していただけると良いと思います。

 また、婚姻費用分担金は、別居後、離婚成立までの大切な生活費というのはもちろんのこと、ご自身が納得のいく形で離婚をするために、非常に重要なポイントになる案件もあります。
 そこで、次回は、婚姻費用分担金と離婚について簡単にご説明したいと思います。